中学生になると、学校の授業内容が難しくなり、進度も速まります。
さらに部活動や習い事などで忙しくなり、塾に通い始めると、学校の課題と塾の課題を両立させるのが大変だと感じているお子さんや、その様子を見て心配になる保護者の方も多いのではないでしょうか。
家に帰ると疲れてしまい、勉強に向かう気力が残らないこともあるかもしれません。思春期で心身ともに不安定な時期でもあり、クタクタになってしまうこともあるでしょう。
この記事では、そんな忙しい中高生が学校と塾の課題をうまく両立させ、負担を減らしながら効果的に学習するための計画の立て方と、その具体的なヒント、そして保護者の方にできるサポートについてご紹介します。
忙しい中高生の「困った」の理由
多くの忙しい中高生が、学校と塾の課題の両立に難しさを感じる背景には、いくつかの理由が考えられます。
- 時間が足りない、と感じる：部活動や習い事などで忙しく、自由な時間が少ないと感じています。家に帰ると疲れてしまい、勉強ができないこともあります。
- 何をすれば良いか分からない：自分で勉強の内容を考えて実行する経験が不足している場合、宿題以外に何をすべきか迷ってしまいます。
- どこが分からないか分からない：授業や宿題でつまずいている箇所が、自分自身でも把握できていないことがあります。
- 疲労やストレス：部活動や人間関係のストレス、不規則な生活などが原因で、心身が疲れてしまい、勉強に集中できないことがあります。睡眠不足は精神的な不安定さにつながる可能性もあります。
- スマートフォンやゲームなどの誘惑：これらに時間を奪われてしまい、勉強時間が減ってしまうこともあります。
- 勉強する理由が明確でない：勉強の必要性を感じていない場合、モチベーションが低くなりがちです.
両立を成功させる鍵は「計画」
学校と塾、それぞれの課題を効果的にこなしていくためには、計画的に学習を進めることが非常に重要です。
漠然と目の前の課題に取り組むのではなく、全体の学習量や時間を把握し、優先順位をつけて取り組むことで、効率が格段に上がります。
計画を立てることで、やるべきことが明確になり、「何をすれば良いか分からない」という悩みも解消されやすくなります。
計画力は、高校受験やその後の学習にも役立つ時間管理能力の育成につながります。
計画の立て方ステップ
ここでは、学校と塾の課題を両立するための具体的な計画の立て方を4つのステップでご紹介します。
ステップ1：目標を明確にする
まずは、「何のために勉強するのか」という目標を具体的に設定しましょう。テストの点数アップ、将来の目標、志望校合格（高校受験）など、お子さんにとって意味のある目標を見つけることがモチベーション維持につながります。
大きな長期目標（例：1年後の高校受験合格）だけでなく、短期目標（例：来週の小テストで〇点取る、今週中に塾のワークを〇ページ終わらせる）も設定しましょう。短期目標は達成感を得やすく、継続の力になります。
目標は、お子さんの学力や状況に合った、達成可能なものにすることが大切です。高すぎる目標はやる気を失わせる可能性があります。
ステップ2：目標から逆算して優先順位を決める
設定した目標を達成するために、「いつまでに」「何を」やるべきかを考え、優先順位をつけましょう。
例えば、定期テスト前であれば、テスト範囲をしっかり確認し、教科書やワークを中心に集中的に取り組みます。高校受験が目標であれば、苦手分野の克服を優先するなど、長期的な視点も必要です。
学校の宿題や提出物は成績（内申点）に影響するため、忘れずにこなしましょう。
塾の課題も、学校の進度や自分の理解度に合わせて進めるのが効果的です。特に、授業で習ったことの復習は、できるだけ早めに（できれば習った当日中に）行うと知識が定着しやすくなります。
「どこから手をつければいいか迷う」場合は、テスト範囲や苦手単元など、やるべきことを書き出して整理してみましょう。学校のワークを繰り返し解くことは、基礎固めやテスト対策に有効です。
ワークはテストまでに3周することが目安とも言われています。
ステップ3：具体的なスケジュールを作成する
優先順位が決まったら、1日の生活リズムに合わせて具体的な学習スケジュールを作成します。
まずは、部活動や習い事など、固定された時間を書き出してみましょう。その上で、勉強に充てられる時間を確保します.
最初から長時間勉強する計画を立てるのではなく、まずは**「1日10分」「1日30分」**など、無理のない時間から始めるのがおすすめです。慣れてきたら徐々に時間を増やしていきましょう。
「〇時から〇時まで」のように、「いつ」「何を」勉強するのか具体的に決めると、取り組みやすくなります.
忙しい場合は、短時間・隙間時間の活用を試してみてください。例えば、夕食前の10分、寝る前の10分など、生活リズムとセットにするのも習慣化に有効です。
休憩時間をスケジュールに組み込むことも大切です。集中力を持続させるためには、適度な休憩が必要です.
勉強時間を記録することで、学習量を可視化でき、達成感につながります。
また、学習内容や教科の偏りにも気づきやすくなります。
何時間勉強するかだけでなく、「何をできるようにするのか」という達成内容まで目標にすることが重要です。.
ステップ4：計画を実行し、見直す
計画ができたら、まずは実行してみましょう。「とりあえず机に向かい、教科書やノートを開く」といった**「行動」から始める**ことで、やる気が出てくることもあります。
計画通りに進まない日があっても、自分を責めすぎないでください。計画はあくまで目標達成のためのツールです。
定期的に計画を見直し、必要に応じて修正しましょう。
お子さんの状況やテスト結果に合わせて、柔軟に対応することが大切です。
効率を上げるためのヒント
計画通りに学習を進めるために、以下のようなヒントも参考にしてみてください。
勉強方法を工夫する
学校のワークを繰り返し解くことは、基礎固めやテスト対策に非常に有効です。ノートを上手に活用して、ワークに直接書き込まずに解くなどの工夫をすると、何度も演習できます。
教科書やノートを読み返す予習・復習、特に授業で分からなかった箇所の解き直し、苦手な単元の問題演習 は効果的です。どこが分からないか見つけることが効率的な学習法です。
きれいすぎるノートを作ることに時間をかけすぎないように注意しましょう。内容の理解や定着が目的であることを忘れないでください。
集中を妨げる可能性があるため、ながら勉強（特に音楽を聴きながらの勉強）は避けるのが望ましいとされています. 定期テストや入試本番では音楽が聴けないため、静かな環境に慣れておくことが大切です.
解けない問題を延々と考え込むよりも、すぐに解答を見たり質問したりする方が効率的です。
集中できる環境を作る
勉強に集中できる静かな場所を確保しましょう。
スマートフォンやゲームなどの誘惑になるものを管理することが大切です。学習時間中は別の部屋に置く、通知をオフにするなど、お子さんとルールを決めて実践しましょう. 完全な禁止よりも、適切なルール設定の方が長続きしやすい場合があります.
机の上には必要最小限の物だけを置くようにしましょう。
保護者のサポートを借りる
「勉強しなさい」という言葉は、かえって反発を招くことがあります。お子さんも勉強する必要があることは分かっているからこそ、反抗したくなるのです。
代わりに、「何時から勉強する？」とお子さん自身に決めさせるように促したり、勉強する理由や将来の選択肢についてお子さんの気持ちを受け止めながら話し合ったりする のが効果的です。
お子さんの興味や関心に寄り添った具体的な将来像と結びつけて説明すると良いでしょう。
お子さんの小さな進歩や努力を見つけ、積極的に褒めることで自己肯定感を育み、学習意欲を高めることができます。
例えば、「問題を最後まで解こうと頑張ったね」「計算ミスが減ってきたね」など具体的な内容を褒めたり、テスト結果だけでなく、努力を認めたり。
生活リズム（睡眠時間、食事）を整えるサポートも重要です。成長期の中学生には8時間以上の睡眠が望ましいとされています。
お子さんの状況によっては、塾などの外部のサポートを検討するのも一つの手です。
個別指導塾であれば、苦手の原因分析や過去の単元に戻っての克服、一人ひとりに合った学習プランの提案が期待できます。
集団指導塾は、受験に向けたカリキュラムが整っており、先の学習を進めるのに適しています。どちらの場合も、塾で習ったことの復習は必要です。
自習室の活用など、家庭学習をサポートしてくれる塾もあります。
まとめ
学校と塾の課題を両立させるのは大変なことですが、計画を立てて取り組むことで、効率的に学習を進め、お子さんの負担を減らすことが可能です。
計画はあくまで目標達成のためのツールなので、お子さんの状況に合わせて柔軟に見直しながら進めていきましょう。
保護者の方は、「勉強しなさい」と一方的に指示するのではなく、お子さんの気持ちに寄り添い、勉強する理由を一緒に考えたり、環境を整えたり、「応援団」としてサポートすることが大切です。
お子さんの小さな頑張りを見つけて褒めてあげましょう。
まずは、今日からできる小さな一歩、例えば「〇時になったら教科書を開く」といったことから始めてみてはいかがでしょうか。
行動することでやる気が出てくることもあります。
