中学生の息子が、家では全然勉強しなくて困っているんです。学校から帰ってきてもすぐにスマホやゲームばかりで… どうしたらいいのでしょう？
中学生になると、学校の授業だけでは理解が難しくなることが多く、家庭学習が必要不可欠になります。
しかし、お子さまに自主的な学習習慣がない様子を見ると、親としては心配になり、ついつい口出ししてしまうこともありますよね。
特に思春期の子どもとの関係では、お互い冷静になれず、衝突が起きてしまうこともあります。
家庭学習は、学校で学んだ内容の理解を深め、知識の定着を図る上で非常に重要です。
過去の調査からも、学校外の学習時間が多いほど偏差値が高くなる傾向が明らかになっており、中学生にも当てはまると推察されます。
自主的な学習習慣がないことへの悩みは多くの保護者の方が抱えており、この記事がその一助となれば幸いです。
中学生の家庭学習の重要性
小学生の頃は、授業を聞いているだけでそれなりの成績が取れていたと思うのですが…
中学生になると、授業の内容が難しくなり、進むスピードも速くなります。学校の授業を聞いているだけでは理解できないことも増えてくるんです。
また、授業で習った内容を自分のものにするためには、家での復習や演習が欠かせません。
漢字や英単語のような暗記は、繰り返しの学習なしには身につきませんし、数学の文字式のように、つまずくとその後の内容が分からなくなる科目もあります。
分からなくなったところは、家庭で戻って勉強し直すことも大切です。
復習が大事なんですね。つい宿題をやるだけで精一杯になってしまって…
中学生からは定期テストの結果が内申点に影響し、高校受験の重要な指標になります。
地域によっては内申点を重視するところもあります。
高校受験では中学校で習った内容の全てが範囲になるため、日々の家庭学習で基礎学力を固めておくことが必須です。
なぜやる気が出ないの？勉強しない理由を探る
中高生が勉強しない主な理由
中学生が家庭学習をしない・できない背景には、いくつかの理由が考えられます。主なものとしては、勉強の必要性を感じていない、集中力が続かない、努力しても成績が伸びないと感じる、部活などで忙しく生活リズムが乱れている・疲れている、スマートフォンやゲームなどの誘惑が強いなどが挙げられます。また、小学生の頃と比べて授業内容が難化したり、勉強方法や時間管理のスキルが未熟なために、何をすればよいか、どこがわからないのかが本人もわからず、苦手意識を持ってしまうこともあります。中学入学後の環境変化や思春期特有の精神的な不安定さも、勉強に向き合えない要因となり得ます。
自主的に勉強する習慣を身につけるための小さな一歩
「毎日少しずつ」始めることの効果
中学生の勉強に関する問題は一朝一夕には解決しませんが、習慣がないお子さまの場合、まずは「毎日少しずつ」の継続が効果的です。調査の平均値にとらわれず、本人ができる範囲で、5分からでも習慣化していくことが大切です。部活などで忙しい場合は、夕食前や入浴後、寝る前など、短時間やスキマ時間を活用する方法を試してみてください。既に習慣になっている行動（例：歯磨き）と勉強をセットにするのもおすすめです。
具体的な「1日10分」学習の例
具体的な学習内容としては、教科書の音読や読み返し、ノートの見直し、単語帳に目を通すといった短時間でできることから始めてみましょう。授業で習う内容を事前に確認し、キーワードだけでも頭に入れておくといった予習も効果的です。まずは学校の宿題を終わらせることを徹底するのも良いでしょう。宿題が終わったら、学校のワークを使って宿題に関連した問題や、宿題が難しければ少し前のページの問題を解き直すのもおすすめです。英語の単語や数学の公式など、暗記ものは短時間でも取り組みやすく、家庭学習に向いています。
勉強内容を記録する
勉強した時間や内容を記録することで、学習状況を可視化できます。短時間の学習でも、毎日続けることで達成感を得やすくなります。また、自分がどの教科や内容にどれくらい時間をかけたかを確認することで、学習の偏りに気づき、苦手科目に取り組むきっかけにもなります。ノートに記録する以外にも、学習記録アプリなども活用できます。
親ができる！やる気を育むサポート術
子どもの心理に寄り添うことの重要性
子どもを責めたり、強制したりするのではなく、子どもの心理に寄り添ったアプローチが重要です。感情的に叱責したり、他の子と比較したりすることは、かえって学習意欲を低下させる可能性があります。まずは、なぜ勉強に向き合えないのか、その理由に耳を傾け、子どもの現状を客観的に把握することから始めましょう。子どもが安心して本音を話せる関係性を築くことが、学習への意欲を育む土台となります。思春期には精神的に不安定になることもありますが、親は味方になり、話を聞いて時を待つことも必要です。
小さな達成感を積み重ねる工夫
努力が結果につながらないとやる気を失いがちなので、学習方法を見直し、小さな成功体験を積み重ねることが必要です。例えば、「問題集を1日○ページ」や「英単語を1日10個」のように、達成可能な具体的な短期目標を設定しましょう。目標を達成した際には、家族で一緒に喜ぶなど、達成感を共有することも効果的です。
努力と成長を「褒める」ことの効果
子どもの小さな進歩や努力を見逃さず、積極的に褒めることで、自己肯定感を育み、学習意欲を高めることができます。テストの点数だけでなく、「問題を最後まで解こうと頑張ったね」「計算ミスが減ってきたね」のように、具体的な改善点や頑張った過程を褒めることで、子どもは自身の成長を実感しやすくなります。
勉強しやすい環境を作る
お子さまの性格や生活リズムに合わせた、「勉強しやすい環境」を整えることも大切です。集中できる静かな場所を確保したり、スマートフォンやゲームなどの誘惑を適切に管理したりする工夫が必要です。学習時間中はスマートフォンを別室に置いたり、通知をオフにしたりするなど、子どもと話し合って明確なルールを設定すると良いでしょう。
勉強する理由を一緒に考える
「なぜ勉強をする必要があるのか」という疑問に対して、「将来のため」といった漠然とした説明では子どもの心に響きません。お子さまの興味や関心に寄り添いながら、勉強することによって何が得られるのかを具体的に話し合ってみましょう。好きなことや得意なことと将来の職業を結びつけて考えるなど、子どもの目線に立った対話を通じて、勉強する意味を見出すサポートをします。
自立を促すサポートに徹する（やりすぎない親の関わり）
中学生は自己決定感を強く求める時期です。親が細かく指示したり、自分の経験を押し付けたりすると、自主性を損なったり反抗心を引き起こしたりする可能性があります。重要なのは、子ども自身が「やろう」と思える環境を作り、適度な距離感を保ったサポートに徹することです。勉強時間や目標設定を子どもに任せ、必要に応じてアドバイスをする、子どもが主体的に考えたことを尊重し見守るといった姿勢が、自立した学習者への成長を促します。また、無理な期待を押し付けず、叱責や非難を避け、子どもが安心して学習に取り組めるように配慮しましょう。
習慣化を成功させるためのヒント
無理のないスケジュールを立てる
家庭学習を習慣化するためには、子どもの生活リズムを考慮した無理のない学習スケジュールを作成することが重要です。毎日決まった時間に学習時間を確保し、規則正しい学習リズムを築きましょう。部活などで帰宅が遅くなる場合は、短時間学習や早朝学習も検討し、柔軟に対応します。また、適度な休息時間を設けることも、効率的な学習のためには欠かせません。
塾の活用
家庭学習をサポートしてくれる塾を活用するのも一つの手です。塾の自習室を利用すれば、自宅の誘惑から離れて集中できます。宿題の量や苦手対策について、塾の先生に相談してみることもおすすめです。先生は集団に対して宿題を出しているため、個別に相談すれば、その子に合った量や内容に調整してもらえる可能性があります。塾を選ぶ際には、体験授業などを利用して、子どもとの相性や学習サポートの内容を確認しましょう。塾の宿題と学校の課題の優先順位については、定期テストの出題傾向などを考慮して判断が必要です。塾によっては学校課題を塾の宿題として管理してくれる場合もあります。
効果的な家庭学習のやり方を知る
家庭学習では、予習・授業・復習のサイクルを意識し、特に復習を重視することが大切です。学校のワークや教科書を中心に活用し、英単語や公式などの暗記ものに取り組むと効率的です。自分に合ったレベルの問題集や参考書を選ぶことも重要で、難しすぎるとやる気を失い、簡単すぎると効果が得られにくいため、集中して解いて6～7割正解できるレベルが目安です。解けない問題に長時間悩み続けるよりも、すぐに解答を見たり質問したりする方が効率が良い場合もあります。また、ノートをきれいにまとめることに時間をかけすぎないように注意しましょう。
体と心の健康も大切に
学習習慣を身につけるためには、規則正しい生活が基盤となります。特に十分な睡眠時間を確保することが重要で、中学生の望ましい睡眠時間は8時間以上とされています。休日との睡眠時間の差をなくすことも一つの目安です。睡眠不足は疲れやイライラ、気分の落ち込みにもつながり、学習効率を下げてしまいます。また、栄養バランスの取れた食事を心がけ、ストレス解消も重要です。
まとめ
自主的な学習習慣は一朝一夕では身につかない
焦らず、できることから始めよう
中学生の学習に関する悩みは複雑で、すぐに解決する特効薬はありません。しかし、子どもが勉強しない理由を理解し、親が適切なサポートを継続することで、確実に改善への道を開くことができます。
親は焦らず、子どもができることを応援し、困っている時に方法や取り組み方をサポートする立場に徹することが大切です。子どもの「やる気スイッチ」は、勉強以外の好きなことや新しい挑戦など、勉強以外の場所での気持ちの変化や意欲によって入ることも多くあります。その入ったスイッチを親がつぶさないように、育ててあげることも時には必要です。褒めたり、やりたいことを応援したりする中で、子どもは自分の力で前に進んでいき、笑顔と楽しそうな姿を見せてくれるはずです。まずは今日、短い時間でも良いので、決めた勉強に机に向かうことから始めてみましょう。
