
もう、スマホばかりで全然勉強しないんです…
そんな言葉を口にする保護者の方は少なくありません。小学校高学年から中学生にかけて、子どもがスマホを手放さなくなってきた。動画にゲーム、SNS…。気がつけば数時間が経っていて、勉強時間はゼロ。
「このままで本当に大丈夫なの…?」
そんな不安を抱えながら、家庭でどう関わればいいのか悩んでいる保護者の姿が多く見られます。
一方で、教育の現場ではこうした声を日常的に受け取っています。
「中学生になると勉強の難易度が上がり、部活動や交友関係も活発になります。生活が急に忙しくなるからこそ、家庭学習の習慣が大切です。ところが、スマホやゲームの誘惑が強く、集中できないという悩みが非常に多いのです」
スマホ漬け?中高生を取り巻く現実

ちょっと目を離すと、すぐスマホに手が伸びている
「宿題を後回しにして、動画やゲームに夢中になってしまう」
こうした状況は今や珍しくありません。実際、ある調査では中学生のスマホ使用時間は1日平均2.5〜3時間とされ、長いと5時間を超えるケースもあります。
SNSや動画コンテンツは、強い刺激と快感を短時間で与えてくれるため、“つい”という誘惑に抗うのが難しいのです。その結果、勉強の時間が削られ、集中力が続かない、やる気が湧かないという問題が起きやすくなります。
また最近では「音楽を聴きながらの勉強」や「片手にスマホを持ったままの学習」といった“ながら学習”が定着している子も増えています。
しかし、入試や定期テストの本番は静かな環境で行われます。“静けさ”に慣れておくことは、実はとても重要なのです。
スマホ依存を乗り越える時間管理のコツ

もう、いっそスマホを取り上げた方がいいのでは?
ただ、実はその方法は逆効果になることも。スマホは今や、友人とのやり取り、学習アプリ、調べ学習など、多目的に活用される生活必需品でもあります。強引に奪えば、反発や隠れての使用を生みやすくなってしまいます。
そこでおすすめしたいのが「ルール作り」。
たとえば…
- 「1時間勉強したら15分ゲームOK」
- 「宿題が終わったらSNS解禁」
といった形で、スマホの使用時間と学習時間のメリハリを“子ども自身と一緒に”決めるのがポイントです。
また、スマホのタイマー機能を活用して「25分勉強+5分休憩」といったリズムをつくるのも効果的。あわせて、「何を勉強するのか」も具体化しましょう。
たとえば、「2時間勉強する」よりも「数学のワークを2ページ解く」といった目標設定の方が、達成感を得やすく、次の行動にもつながります。
スマホを“敵”にしない!学習に活かす活用法

スマホを使わせたら、また遊び始めてしまいそう…
そんな不安の声もよく聞かれます。
でも、スマホは“使い方”次第で学習の強い味方にもなります。
たとえば、
- 学習時間を可視化できる記録アプリ
- スケジュールを管理できるToDoリスト
- 苦手分野を動画で視覚的に理解できる学習コンテンツ
- 他の生徒とオンラインでつながれる“自習室”型アプリ
など、集中や継続をサポートしてくれるツールが充実しています。
保護者としてできるのは、「ただ制限する」のではなく、「どうすれば学びに活かせるか」という視点を持つことです。
親の関わりで差がつく!子どもの“やる気”を引き出すコツ
「またスマホ? いい加減にしなさい!」
つい感情的に言ってしまう――これも多くの家庭で見られるリアルな姿です。
けれど、実は「叱責」や「他の子との比較」は、子どものやる気を奪う原因になりやすいと言われています。実際、文部科学省の調査でも「強い叱責を受けた子どもの7割以上が学習意欲を失う」との結果が出ています。
大切なのは、「自分で決めた」感覚を持たせること。
- 「今日は何時から勉強する?」
- 「先に宿題とゲーム、どっちからにする?」
こうした声かけによって、子どもが自分で選び、自分の意思で行動する姿勢を育てられます。
さらに、小さな努力や成長を見逃さず、タイミングよく「よく頑張ってるね」と認めてあげることで、次の行動のモチベーションになります。
おわりに|“やらされる勉強”から“自分のための学習”へ
スマホに囲まれた現代の子どもたちにとって、「誘惑を断つ」ことは簡単ではありません。
でも、工夫次第でスマホを“味方”に変えることはできます。
家庭でできるサポートは次の5つ
- 一緒にルールをつくる
- 勉強目標を明確にする
- タイマーやアプリで時間管理する
- 小さな努力を見逃さず認める
- 心の声を受け止め、責めずに寄り添う
「どうせスマホばかり」と決めつけず、「どう活かすか」の視点に切り替えることで、“やらされる勉強”から“自分の意思で取り組む学習”へと変わっていきます。

