学校から帰ってきたら、宿題や次の日の準備をするでもなく、すぐにスマホやゲームを手に取る我が子。何度「勉強しなくていいの？」と聞いても、曖昧な返事をするか、聞こえないふり。
この状況を変えたい！将来への危機感を持ってほしい。
「今が楽しければいいんだ」とばかりに、将来のことなんて考えている様子は全くありません。親としては「このままで大丈夫？」と不安になるばかりです。
中学時代の学習習慣は、将来に大きな影響を与える大切な土台です。勉強しない状態を放置すると、目の前の定期テストや高校受験に影響が出るだけでなく、学習内容が理解できないまま進級することで、さらに勉強から遠ざかってしまうリスクもあります。基礎学力が不足したまま高校に進学すると、授業についていけなくなる可能性も高まります。
どうにかして、この状況を変えたい。子どもに将来への危機感を持ってほしい。そう願うけれど、どう声をかけたらいいのか分からない…そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
子供が「今が楽しければいい」と言う時
危機感ゼロは「普通の発達段階」？
専門家によると、中学生（特に男子）は、発達段階的に「将来を真剣に考える」ことがまだ難しいとされています。やる気スイッチがなかなか入らないのは珍しいことではなく、「普通のこと」と捉えることが大切です。
そもそも「どうしたらいいか分からない」ことも
- 勉強のやり方が分からない
- 授業に置いていかれ、何が分からないかも分からない
こうした状態では、「勉強しよう」に応えられないのも当然です。
そんな時、親が「勉強しなさい！」と強く叱ったり、感情的に責めたりするのは逆効果です。叱責や非難は、子どもの学習意欲を低下させる原因となります。良かれと思って声をかけても、反発されてしまうと親も辛いですよね。
親ができる「声かけ」と「見守り」
「叱る・責める」は逆効果！
「勉強しなさい！」と怒っても、子どもはますます心を閉ざします。良かれと思っての言葉が反発を生み、親子関係に亀裂を入れてしまうことも。
まずは責めるのではなく、子どもに寄り添い、共感的な聞き方で心を開くことが大切です。
共感的に寄り添う声かけを
例えば、テストの結果が悪く落ち込んでいるとき、「なんでこんな点数なの！」ではなく、
「思ったより悪くて、がっかりしたよね…」
と子どもの気持ちを代弁するように声をかけてみましょう。ある家庭ではこの声かけをきっかけに、子ども自ら「塾に行きたい」と言い出した例もあります。
子どもが未来を考えるための問いかけ
危機感は“内側”からしか育たない
外から押しつけても意味はありません。子ども自身が「このままではいけない」と気づく必要があります。
効果的な問いかけ例
- 「今のままを続けたら、3ヶ月後どうなると思う？」
- 「高校に入ったら、どんな生活を送りたい？」
こうした問いが、子どもに“想像力”と“自分事”を促します。
小さな目標が「自信の芽」になる
完璧主義はNG！ゆるく始める
「1日10分だけ」など、小さくても達成できる目標を設定し、積み重ねることが大切です。達成感が自信を育て、やる気の芽を育みます。
「結果」より「プロセス」をほめよう
- 学習時間を記録する
- 分からなかったことを調べた行動を認める
- 解こうとした姿勢を褒める
努力の“過程”に注目して、具体的な言葉で伝えましょう。
興味と勉強をつなぐ工夫
「勉強って何の役に立つの？」への答え
子どもが勉強に意味を感じないのは、未来とのつながりが見えないからです。そこで、好きなこと・関心があることと勉強をつなげてみましょう。
例）
- ゲームが好き → プログラミングには数学や理科が必要
- スポーツが好き → トレーナーには生物の知識が重要
- 漫画や小説が好き → 表現力や語彙力を鍛えることで世界が広がる
子どもの“好き”を学びと結びつけることがポイントです。
子どもを信じて「環境」を整える
勉強に集中できる環境とは？
- 机の周りに遊び道具を置かない
- 勉強する場所を固定する（リビングも効果的）
- スマホは学習中オフにする、別室に置く
ただし、「片付けすぎ」には注意。子どもの個性に合わせ、相談しながら環境を整えましょう。
机周りに遊ぶものを置かない、勉強する場所を決める など最低限の環境整備は有効です。リビングなど人の目がある場所の方が集中しやすい子もいます。ただし、散らかっている方が落ち着く子もいるため、親が勝手に片付けるのは厳禁です。子どもと相談しながら、できる範囲で進めましょう。スマートフォンなどの誘惑となるものは、学習時間中は別室で保管したり、通知をオフにしたりするなど、ルールを決めることも効果的です。
第三者の力も活用しよう
塾の講師は学習意欲を高めるプロ。子どもが親の言葉には反発しても、先生の言葉なら素直に聞くこともあります。
塾を活用するメリット
- 個別指導で苦手に寄り添った学習プラン
- 過去単元へのさかのぼり学習
- オンライン塾の自習室など、柔軟な学習スタイル
家庭で限界を感じたら、無理せずプロに頼ることも選択肢です。
塾は勉強のやる気を出すための工夫や仕掛けを知っているプロフェッショナルです。子どもが親の言うことは聞かなくても、塾の先生の声には素直に耳を傾けることもあります。個別指導塾であれば、一人ひとりの学力に応じた学習プランを提案し、苦手の原因を分析して過去の単元に戻って克服することが可能で、先生が子どもに寄り添って指導してくれます。先生との関係性がやる気につながることもあります。オンライン塾には、自習室を開放しているところもあります。塾との連携をうまく活用することも重要です。
親も「がんばりすぎない」ことが大事
中学生との関わり方は“ほどよい距離感”がカギ。介入しすぎは逆効果です。
「困ったときは手助けするから、安心してね」
そんなメッセージを背中で伝えることが、子どもにとっての安心材料となります。
中学生の子どもに対しては、ある程度の距離感を保ち、必要なサポートを適切なタイミングで行うことが重要です。親が介入しすぎると逆効果になることもあります。良かれと思ってあれこれ口出しするのではなく、子どもを見守り、「困っているならいつでも手助けするよ」というサインを送る程度で様子を見ることが大切です。子どもの将来を考えると不安になりますが、今の学習意欲の低さを大ごととして捉え過ぎないことも重要です。
まとめ：焦らず、子どもと一緒に一歩ずつ
- 子どもに危機感を持たせるには、まず共感と寄り添いから
- 小さな目標で自信を育てる
- 興味と勉強を結びつけて、納得感を持たせる
- 環境整備や第三者の協力も取り入れる
- 親自身も無理をせず、適度な距離で見守る姿勢を大切に
やる気スイッチは「押す」ものではなく、「自然に入る」もの。焦らず、じっくりと子どもに関わっていきましょう。未来への第一歩は、親子の信頼関係と、小さな気づきから始まります。
子どもが「今が楽しければいい」と考え、将来への危機感がゼロに見える時、親としては不安や焦りを感じてしまいます。しかし、危機感は他人から押しつけても育ちません。責めたり、強要したりするのではなく、子どもの心に寄り添い、共感的に話を聞くことから始めましょう。
そして、「今を続けたら3ヶ月後どうなると思う？」といった問いかけを通して、子ども自身が未来を考え、現状を振り返るきっかけを与えます。小さな目標設定や成功体験の積み重ね、興味や好きなことと勉強を結びつけるサポートも有効です。
また、勉強に集中できる環境を整えたり、塾などの第三者の力を借りることも検討しましょう。親自身も一人で抱え込まず、適度な距離感を保ちつつ、子どもの成長を信じて見守ることが大切です。やる気スイッチは入れるものではなく、入るもの。焦らず、じっくりと子どもに関わっていくことが、未来への一歩につながるはずです。
