「どうせ僕（私）にはできないから…」
我が子が何か新しいことに挑戦しようとする前に、あるいは少し難しい問題にぶつかっただけで、そう言ってすぐに諦めてしまう姿を見るのは、親として本当につらいですよね。
「もう少し頑張ればできるかもしれないのに」「やる前から決めつけないで…」
そう心の中で叫んでしまうこともあります。
良かれと思って「大丈夫だよ」「やればできるって！」と励ましても、全く響いていないように見えたり、かえって反発されたり。「どう声をかけたら、この子の自信を育ててあげられるんだろう？」と、途方に暮れてしまうことも少なくありません。
このままでは、将来何か壁にぶつかった時に乗り越えられなくなってしまうのではないか…。そんな不安が頭をよぎる保護者の方へ。今回は、お子さんの「自信の種」を育み、自ら前向きに取り組めるようになるための親の関わり方について、一緒に考えていきたいと思います。
なぜ、うちの子はすぐに諦めてしまうの？
「どうせ無理って、なんで決めつけるんだろう…」
子どもがすぐに諦めてしまう背景には、様々な理由が考えられます。単に「やる気がない」 だけではないのかもしれません。特に思春期の子どもたちは、心も体も大きく変化し、複雑な感情を抱えています。
「できない」のではなく、「できると思えない」だけ
ソースにあるように、お子さんが「どうせできない」 と言うのは、実際に能力がないからではなく、「自分にはできる力があると思えない」 状態にあるのかもしれません。これは「自己効力感」 と呼ばれる、「自分ならできる」「きっとうまくいく」 という認知が低い状態です。この自己効力感が低いと、失敗を恐れて挑戦できなかったり、たとえ失敗しても「次はこうしてみよう」 と再チャレンジする意欲が湧きにくくなります。
頑張る前に諦めてしまう姿、見ていて胸が痛みますよね
親としては、少しでも頑張れば成果が出るかもしれない と信じているからこそ、その手前で簡単に諦めてしまう姿を見るのが歯がゆく、胸が締め付けられるような気持ちになります。それは、親自身が過去に努力で壁を乗り越えた経験があったり、子どもの可能性を信じているからこその痛みでしょう。
比べられたり、否定的な言葉で傷ついた経験
「〇〇ちゃんはもうこんなにできるのに…」「お前はそんなだから駄目なんだ」。残念ながら、このような他人との比較 や否定的な言葉 は、子どもに「どうせ自分は頑張っても駄目なんだ」 という感情を植え付け、自己肯定感 を弱くしてしまう可能性があります。一度傷ついた心は、新しい挑戦への意欲を大きく削いでしまうのです。
「自信の種」を育てる関わり方
「でも、どうすれば自信を持ってくれるんだろう？」
すぐに諦めてしまう我が子に、どうすれば「自分にもできるかもしれない」 という自信を持たせることができるのでしょうか。それは、親が一方的に「やる気スイッチ」 を入れようとするのではなく、お子さんの中に眠る「自信の種」 を一緒に見つけ、育んでいく作業です。
過去の「できた瞬間」を一緒に振り返り、本人の言葉で成功体験を言語化させましょう
「前に頑張ってできたこと、何か思い出せる？」
「あのとき、どうやって乗り越えたっけ？」
過去の成功体験を一緒に思い出し、それをお子さん自身の言葉で語らせることは、自己効力感を育てるうえで非常に効果的です。
親が言うのではなく、子ども自身が「できた！」と思えた瞬間や、その時にどんな工夫をしたのかを語ることで、「自分にもできる力がある」と再確認できます。
小さな成功体験を積み重ねるスモールステップと、具体的な褒め方
自信がない子にとって、大きな目標はプレッシャーになります。まずはスモールステップから。
- 「今日は教科書1ページだけ読んでみよう」
- 「問題集を3問だけ解いてみよう」
小さな達成を積み重ねることで、自信は少しずつ育っていきます。
そして、達成したことを褒めるときは、「結果」だけでなく、「努力のプロセス」に注目してください。
「毎日机に向かっててえらいね！」
「わからないところを自分で調べたの、すごいね！」
こうした具体的な声かけが、「頑張りはちゃんと見てもらえている」という安心感を生み、次の行動へとつながります。
時には、現在の学力より簡単な、例えば「2学年下の学習内容」 から始めて、「できた！」という感覚を取り戻すのも有効です。
「努力すれば成長できる」ことを意識づける
- 学習時間や取り組んだ問題数を記録する
- 「前は解けなかった問題が、今は解けるようになったね」と伝える
こうした小さな変化を一緒に喜ぶことで、「頑張りは確実に力になっている」 ことを実感させてあげましょう。
勉強だけじゃない、心の充電も大切
「勉強以前に、なんだか疲れてるみたいだし…」
子どもがすぐに諦めてしまうのは、もしかしたら心身が疲れていて、「充電切れ」 の状態にあるのかもしれません。無理に勉強させようとする前に、家庭を安心して「充電できる場所」 にすることも、自信を育む上で非常に重要です。
家庭は「充電ステーション」
子どもたちは学校や部活、習い事で、一生懸命頑張って 帰ってきます。家は、そんな子どもたちが唯一「弱音を吐ける場所」、文字通り「充電」 を完了させて、また明日を頑張るためのエネルギー を満タンにする場所であるべきです。
弱気な発言があっても、「やる気が足りない」 と決めつけず、「あ、充電ね、はいはい」 と余裕を持って構えることが大切です。親は「スイッチを入れる」 ことだけでなく、「スイッチを切る」 ことも考えてあげる必要があります。
共感して、ただ話を聞く時間
疲れている時や、うまくいかない時、「疲れた」「無理」 と言ったり、やる気がないように見えたりする時、まずはその気持ちに寄り添い、「大変だね」「つらいね」 と共感する言葉 をかけてあげましょう。
勉強の話でなくても、趣味や友達のこと など、たわいもない会話を通じて、子どもが安心して話せる関係性 を築くことが重要です。
親が自分の状況や気持ちを理解しようとしてくれる だけで、子どもは心を開きやすくなります。時には、ただそばにいて、温かい食事 を作ってあげるだけでも、十分なサポートになります。すぐに結果を求めず、時を待つ ことも親には必要です。
第三者（塾講師など）の力を借りる
親が言うと反発するのに、塾の先生や学校の先生の言葉なら素直に聞ける ということはよくあります。親だけで抱え込まず、塾の先生のような第三者や専門家 の力を借りることも有効です。
塾の先生は勉強のプロであり、お子さんの学習状況を客観的に見て、一人ひとりに合った丁寧な指導 や、小さな目標設定、成功体験を積ませる工夫 をしてくれます。
また、塾の自習室 など、家とは違う「勉強に集中できる環境」 を提供することも可能です。第三者のサポート は、お子さんの自信 を育む大きな助けとなるでしょう。
おわりに
「どうせできない」と口にしてしまうのは、決して怠けているわけでも、才能がないわけでもありません。
それは、「自分ならできる」という感覚が薄れているだけ。
だからこそ、親としてできるのは、「勉強しなさい」と言うことではなく、一緒に“自信の種”を探し、育てることです。
小さな成功体験を重ね、努力の過程を認める。心が疲れているときは、まず充電。
必要なときには第三者の力も借りながら、親子で「できた！」の瞬間を一つずつ増やしていきましょう
